『銀河滅亡辞典』翻訳原則

A. 韓国語原文を基準とする

『銀河滅亡辞典』のすべての翻訳において、韓国語原文を最終的な基準とします。

したがって各言語版は、互いを翻訳したものではありません。一つの韓国語原文からそれぞれ独立して生まれた翻訳です。

B. 作品の性格を保つ

『銀河滅亡辞典』は、一般的なSF小説の文体では書かれていません。

この作品は、辞典、報告書、文献、研究記録、歴史書、用語集などが混在する文学的アーカイブに近いものです。

そのため、翻訳でも次の性格を保ちます。

この作品の雰囲気において特に重要なのは、次の二つが同時に存在することです。

翻訳では、この二つをできるかぎりそのまま保つことを目指します。

C. 文体の原則

翻訳では、次の原則を守ります。

  1. 乾いた文体を維持します。
  2. 原文が直接説明していない感情を、翻訳で新たに説明しません。
  3. 原文以上に文学的な装飾を加えません。
  4. 原文の冷たい語り口と、奇妙なほど真剣な態度を保ちます。
  5. 翻訳を、一般的な意味で「その言語のネイティブが書いた洗練されたSF」のように見せることを目的としません。
  6. 意味、ニュアンス、感情の流れ、語りの声を保つために必要であれば、ある程度の異質さを許容します。
  7. より流麗な文章にするためだけに、原文の論理構造を変更しません。
  8. 原文に意図的な反復がある場合、実質的な理由なしに削除しません。
  9. 説明文や宣言文は、原文が短く硬い場合、その短さと硬さを保ちます。
  10. 宇宙的な概念を翻訳の過程で感傷的なものにしません。

自然な文章であることは重要です。しかし、この作品において自然さそのものが最終目的ではありません。

D. 段落と構造を保つ

『銀河滅亡辞典』では、形式も内容の一部です。

そのため:

作品内で次のような階層が区別されている場合:

それらを翻訳の過程で一つの平坦な形式へまとめません。

E. 用語の一貫性を保つ

作品の中で重要な役割を持つ用語は、一度翻訳方針が定まれば、特別な理由なく変更しません。

たとえば、次のような概念は作品全体を通して一貫した体系の中で扱います。

同じ概念を章ごとに別の表現へ言い換えて文章に変化をつけることよりも、作品全体の概念体系を安定して維持することを重視します。

文学的な変化のために用語の正確さを犠牲にしません。

F. 科学的概念を翻訳の過程で書き直さない

『銀河滅亡辞典』には、実際の科学概念と架空の科学設定が共存しています。

翻訳では:

翻訳の役割は、作品の科学を新たに設計することではありません。原文に存在する科学と、その不確かさを別の言語へ移すことです。

G. 核心となる文では、意味とリズムの両方を保つ

この作品には、単なる情報伝達以上の役割を持つ文があります。

そのような文では、次の要素を同時に考慮します。

作品を代表する核心文の一つは、次の文です。

빛은 시간을 거슬러 가지 않았다. 시간이 빛 앞에서 접혔다.

確定している各言語版は以下のとおりです。

English

Light did not travel backward through time. Time folded before the light.

日本語

光は時間を遡らなかった。時間が光の前で折り畳まれた。

Français

La lumière ne remonta pas le temps. Le temps se plia devant la lumière.

このような作品の中心的な文は、一度確定した後、単なる文体上の好みを理由に繰り返し変更しません。

H. 固有名詞、人名、地名

固有名詞は作品世界の一部です。

そのため:

名前の異質さは、必ずしも修正すべき問題ではありません。それ自体が作品世界の一部である場合があります。

I. 翻訳品質の優先順位

『銀河滅亡辞典』の翻訳では、次の順序を重視します。

  1. 意味
  2. 論理関係
  3. 文体の冷静さと語りの声
  4. 反復構造
  5. 用語の一貫性
  6. 文のリズム
  7. 自然さ

自然さは重要ですが、最後に置かれます。

ネイティブにとって滑らかに読める文章にするために、意味を変えたり、論理構造を単純化したり、反復を削除したり、作品の異質な声を一般的な文体へ置き換えたりはしません。

完全に自然でありながら別の作品になってしまう翻訳よりも、原文の思考と声を保った翻訳を選びます。

J. 検討の原則

翻訳の検討は、文章を際限なく美しくするための作業ではありません。

主に次の点を確認します。

細かな好みの違いは、実際の誤りと区別します。

特に、次のような理由だけで、すでに正確な翻訳を変更しません。

その変更が実際に意味、語りの声、リズム、構造上の忠実さを改善する場合にのみ修正します。

K. 確定した翻訳を尊重する

一つの章や項目が十分な比較と検討を経て確定した後は、もう少し洗練された表現が思いついたという理由だけで再び書き換えません。

翻訳は無限に修正できます。

しかし、ある地点を越えると、さらに修正することは、より正確な翻訳を作ることではなく、単に別の翻訳を作ることになります。

『銀河滅亡辞典』の翻訳は、その境界を見極めようとしています。