12月 拍手はいつするんですか?

今年ももう最後の月だ。今年一年、意味のある出来事が本当にたくさんあったけれど、それについては期末試験が終わってから考えることにした。まずは試験でいい点を取らなければならない。勉強のできない子をヒジョンが好きになるはずがない。もし誰かがヒジョンに、

「君の彼氏、クラスで10番以内にも入れないんだって?」

なんてからかったら、ヒジョンはどんな気持ちになるだろう。そんなことはあってはならない。

漢文と科学を除けば、成績はそこそこ出そうな気がする。それでも最近のうちのクラスの勉強ぶりを見ると、どうなるか分からない。うちのクラスの子たちは、人生から学校、塾、ゲームを取ったら何も残らないような気がする。僕は塾にも通っていないしゲームも嫌いだから、人生がずっとダイナミックな気がする。幸い、僕と仲のいい子たちはみんな塾に通っていないし、ゲームもあまり好きではない。

いや、そうじゃなくて、塾に通わずゲームも好きじゃない子たちだけが集まって、仕方なく友達になっているんじゃないだろうか?

秋には落ち葉が転がっていたのに

冬の雨が落ち葉を濡らす。

ソウルとパリのたくさんのホームレスを思い出す。

今年の冬は寒くなければいい。

世の中にはお金も食べ物もあふれているのだから、無料の食堂があちこちにあればどんなにいいだろう。そうすれば、貧しいおじいさんやおばあさんたちが、夜明けから段ボールを拾って歩き回らなくてもいいのに……。

ジョンス叔母さんの家へ上がろうとマンションのエレベーターに乗ったら、高校生くらいに見える女の子がエレベーターの床につばを吐いた。

世の道義も地に落ちたとは聞いていたけど、本当だったんだな。

叔母さんが出した数学の問題を全部解いた。

叔母さんは、僕のほうが英才クラスの子たちより百倍ましだと言う。

お世辞ではないことを僕はよく知っている。

この前、ヒジョンが解けなかった問題を僕が解いてあげたではないか。

ジェイミーおじさんは、まだボストン旅行へ行けていない。

延ばし延ばしにしているうちに冬になってしまい、結局来年の春に旅行する予定だそうだ。

車椅子で旅行するというのは、思っていたより簡単なことではないらしい。

僕は、

「おじさん、元気出してください。暖かい春に行けば、もっと楽しいですよ」

と励ましてあげた。

ジョンス叔母さんに呼び出され、朝から叔母さんの家へ数学の勉強をしに行った。

昨日エレベーターでつばを吐いていた、あの女子高生の家族と一緒にエレベーターに乗った。

女子高生のお母さんが体でボタンを隠していたので、僕はどうにか7階のボタンを押した。

ボタンを押すと、僕はすぐ片隅へ移動した。

「押さないで何してるんだ!」

女子高生のお父さんが叫んだ。

「何を?」

女子高生のお母さんが言った。

「このおばさん、ぼーっとして何やってるの!」

女子高生が叫んだ。

「まったくだ。お前の母さん、最近どうしたんだ?」

「あら、私ったら!」

そこでようやく女子高生のお母さんが12階のボタンを押した。

僕は両脚が震えて、倒れるかと思った。

ジョンス叔母さんにエレベーターであったことを話すと、最近は行儀の悪い子が多いと言った。

叔父さんが横から、全部親のせいだと口を挟んだ。

叔母さんが高麗人参ジュースを一杯くれたので、それを飲んでようやく正気を取り戻した。

叔母さんの家は、うちよりずっとお金持ちだ。

高麗人参ジュースを箱ごと置いて飲んでいる。

風邪をひかないんだとか……。

叔母さんが、今回の期末試験で数学100点を取ったら、僕の欲しいものを買ってくれると言った。

何が何でも数学に全力投球だ。

ついに明日が決戦の日だ。

数学よ、待ってろ!

僕が行く!

マーラーが待つ週末よ、早く来い!

試験一日目。

国語。やっぱり勉強したかいがあった。国語の成績はかなり上がりそうだ。

社会。キム・スヨン先生への礼儀として、一生懸命勉強した。いい点が取れそうだ。

道徳。簡単すぎる。こんなに差がつかない試験でいいのだろうか。

ひょっとして、このままうちのクラスで1位にでもなったらどうしよう?

心配だ。

ひとまず秘密にしておこう。

試験二日目。

英語。英語の試験が難しすぎた。まさか難しかったのは僕だけじゃないだろうな?

音楽。いっそ歌で試験をしてくれ!

クラスで1位になる心配は減った。

そもそも最初から、そんな心配をする必要はまったくなかった。

試験三日目。

科学。今日の試験、少し簡単だったのかな? とにかく勉強したかいはあった。

漢文。どうやら先生は漢文という科目がなくなるのを心配して、試験問題を簡単にしたらしい。

ほかに理由があるはずがない!

昨日捨てた希望が、またむくむくと頭をもたげてくる。

1位でなくても、上位というものがあるではないか?

明日は一番楽な数学だ。

いや、数学が楽だなんて!

もしかして僕は頭がおかしくなったんじゃないだろうか?

試験四日目。

数学。最後の問題は、どう考えても先生が出題を間違えたようだ。

どうしてこんな問題を出したのか分からない。

先生が3年生に出す問題と取り違えたのでなければ、僕は終わった!

今日の夕方、父さんとヒジョンと一緒に、マーラーの『交響曲第9番』のコンサートへ行ってきた。

もちろん母さんは忙しくて来られなかった。

生まれて初めて芸術の殿堂というところへ行った。

僕たちは駐車場に車を止め、かなり長いあいだ歩いて坂を上った。

あとで分かったことだけれど、父さんはコンサートホール側の駐車場ではなく、オペラ劇場側の駐車場に車を止めていたのだ。

父さんのおかげで、僕たちは寒さに震えながら20分以上もコンサートホールを探してさまよった。

母さんが来なくて本当によかった。

父さんはきちんとしたスーツにコートまで着ていた。

ヒジョンは白いセーターにダッフルコートを着て、頭には毛糸の帽子をかぶっていた。

僕は黒いセーターにウールのコートを着て、頭には白いハンチングをかぶった。

これくらいなら、僕たち全員かなりいい感じだった。

実を言うと、ヒジョンはいい感じなんてものではなく、本当に天使みたいだった。

芸術の殿堂に集まった何百人もの中で、ヒジョンがいちばん目立っていた。

胸に「キム・ヒジョンの彼氏」という名札をつけて歩きたいくらいだった。

僕たちはチケットを受け取りに窓口へ行った。

窓口の係員が父さんに名前を聞いた。

「ホ・スジョンです」

係員が箱の中からチケットを探した。

ところが、ない。

「ホ・スジョン様でいらっしゃいますよね?」

係員が父さんの名前をもう一度確認した。

「はい、そうです。でもC席ですけど」

「あ、はい。申し訳ありません」

係員は、あらかじめ印刷して封筒に入れてあるVIP席とR席のチケットの箱をテーブルに置き、パソコンでその場でC席の座席券を印刷して渡した。

ヒジョンが面白そうにくすくす笑った。

僕は少し恥ずかしかったけれど、顔には出さないようにした。

「大丈夫。芸術の殿堂のコンサートホールはC席がいちばんいいんだ。父さんは昔、何度も来たことがあるからよく知ってる」

父さんは、僕たちの席がC席だということなど、まったく気にせず言った。

「でも、どうして駐車場は全然違うところに止めたんですか?」

僕が聞いた。

「大学生が車なんか持ってるか? 車で来るのは初めてだからだよ」

言われてみれば、父さんの言うことももっともな気がする。

本当にC席がいちばんいいのかは、もうすぐ証明されるだろう!

3階へ上がる階段は急で高かった。

父さんは階段を上りながら、僕たちにこんなことを言った。

「VIP席やR席の招待券より、C席でも自分の金でチケットを買って見るほうが楽しいんだ。ほんとだぞ!」

この言葉も、もうすぐ証明されるだろう。

3階へ上がる階段の横のバルコニーには、銀行のVIP顧客のためのラウンジが用意されていた。

食べ物と飲み物が並び、きちんとした服を着た人たちが何人かずつ集まって話をしていた。

招待券で来た人たちだ。

僕にはひと目で分かった。

そう考えると、やっぱり父さんの言うことは正しい気がする。

あばら家でも我が家がいちばん、と言うではないか。

たった一万ウォンのC席でも、自分で金を払って見るほうがいい。

僕たちは純粋に音楽を求めてここへ来たのだ!

この一か月、飽きるほどマーラーを聴いて、また聴いてきたのだから。

僕たちの席は、いちばん右端の隅だった。

座席が狭いので、コートを脱いで膝の上に置かなければならなかった。

演奏者たちが一人ずつ舞台に上がり、楽器の調律を始めた。

何十人もの人が一斉に楽器を調律するのだから、世の中にこんな騒音はない。

ところが舞台の片隅に、はしごが置いてあった。

もうすぐ演奏が始まるというのに、まだはしごを片づけないなんてひどいと思った。

指揮者が舞台に上がった。

僕の席から見ると、指揮者は爪より小さく見えた。

しかも後頭部しか見えない!

ところが驚いたことに、指揮棒を上げると、オーケストラの音が3階のこんな遠いところまでくっきり聞こえてきた。

父さんの古いオーディオや、僕の部屋のぼろステレオから流れてくる音とは違った。

ドンワンのお父さんの書斎で聴いた、あの壮大な音とも比べものにならない、本物の音楽がコンサートホールいっぱいに広がった。

ところが第1楽章の途中で、オーケストラの一人が棒を持って、あのはしごを上り始めたではないか。

すると長い金属の塊を叩き始めた。

ディーン、ディーン、と低い音が響き渡った。

面白い光景だった。

音楽よりも深い余韻を残した場面だった。

第1楽章が終わり、休憩時間になると、遅刻してきた人たちが入ってきて席を探した。

もう少し早く来ればいいのに。

何人かはマーラーの第2楽章が怖いのか、コートを持ってそのままコンサートホールの外へ逃げていった。

休憩時間に父さんが、はしごに上って演奏していた楽器の名前はベースチャイムだと教えてくれた。

第2楽章が始まった。

父さんの作業部屋で聴いていた音楽より、ずっと軽快な音が響いた。

弦楽器の音が、こんなに柔らかくて飛んでいきそうに軽いなんて。

管楽器の音もまったくつぶれず、鮮明に聞こえた。

これはここ数週間聴いてきた、あの音楽ではなかった。

まったく別の音楽、つまり本当の「生の音楽」だった。

第3楽章が始まると、体がむずむずしてきた。

音楽もそろそろ新鮮ではなくなり、興奮もかなり落ち着いてきた気がした。

正直、僕はそうだった。

それでオーケストラの人数を数えながら、音楽に集中しようとした。

ところがチェロのパートは僕の席から見えなかった。

だから正確な人数を数えることができなかった。

目分量で見たところ、百人くらいいるようだった。

第4楽章が終わるころには、おしっこを我慢するのが大変だった。

やっぱりマーラーはマーラーだ。

80分以上もじっとして聴くのは簡単ではなかった。

打楽器奏者がもう一度はしごに上って、ベースチャイムでも叩いてくれないかと期待したけれど、残念ながらそんなことは起きなかった。

これから作曲家たちには、交響曲は60分以内で作曲するよう勧めたい。

ついに第4楽章が終わった。

拍手をする時間だ。

僕はダニエル・ホープの『拍手はいつするんですか?』を読んだから、はっきり分かっている。

力いっぱい拍手した。

思いきり拍手していると、ストレスが一気に吹き飛ぶようだった。

ここ数週間、期末試験のせいでたまったストレスが、拍手の中で溶けていく気がした。

今度は席から立ち上がって拍手した。

1階と2階の人たちも、みんな立ち上がって拍手した。

指揮者が何度か出たり入ったりするまで、みんな力いっぱい拍手した。

みんな拍手でストレスを発散しているようだった。

マーラーの目まぐるしい音楽が終わって、安心して拍手している人もかなりいるように見えた。

拍手の音から、安堵のため息が聞こえる。

僕には分かる。

本当に、この長く退屈な音楽が終わらなかったら、いったいどうなっていたことか!

手のひらがぱんぱんに腫れるまで拍手すると、急に腹が減ってきた。

朝、父さんは起きるなりマーラーの『交響曲第9番』をかけた。

古いオーディオから流れる音は、昨夜の興奮に比べるとかなり退屈だった。

でも、なぜかこの曲をよく知っているような気がした。

あんなにきんきんしていた管楽器の音まで、柔らかく感じられた。

マーラーの音楽が身近になった。

朝、ジョンス叔母さんの家で数学の勉強をしていると、叔母さんが今回の数学試験の最後の問題は、僕がすでに習ったものだと言った。

そして問題集を開くと、

「これじゃない?」

と指さすではないか。

何も言えなかった。

プレゼントが空中へ消えていった。

叔母さんに、一問しか間違えていないのだから小さなプレゼントくらい何とかならないかと聞いたけれど、駄目だと言う。

叔母さんは、こういうことに関してはいつも容赦がない。

譲歩もしないし、基準も変えない。

その代わり、やると約束したことは必ずやってくれる。

結局、叔母さんの言うとおり来年を目指すことにした。

あと2週間もすれば冬休みだ。

うわあ!

ヒジョンとまたパリへ行きたいけれど、それは無理だ。

幸い冬休みになったら、ヒジョンの家族とドンワンの家族と一緒に束草へ旅行することになった。

春の修学旅行で束草へ行ったことはあるけれど、あれは無効だ。

12月30日に出発して、1月1日に日の出を見てからソウルへ戻ることになった。

母さんと父さんは、束草へ行ったばかりだから嫌だと言っているけれど、ヒジョンの家とドンワンの家が束草へ行こうと強く主張した。

もちろん僕は両親の味方をしなかった。

僕を置いて束草旅行へ行った、その報いだ。

ヒジョンの家の車に乗ろうか?

それとも父さんの車に乗ろうか?

実を言えば、こんなことで悩む必要はまったくない。

ヒジョンが乗る車に僕が乗る。

冬休みまで遠すぎる。

期末試験も終わったんだから、校長先生が思いきって冬休みを宣言してくれればいい。

校長先生がひどいインフルエンザで欠勤している。

それなら教頭先生が思いきって冬休みを宣言してくれればいい。

朝ごはんを食べていると、父さんが、もうすぐ宇宙の秘密が解けそうだと言った。

いつもなら母さんが、

「いいから早く食べなさい」

と言うところなのに、

「それ、どういう意味?」

と父さんに聞いた。

すると父さんは、欧州原子核研究機構CERNで「神の粒子」と呼ばれるヒッグス粒子も見つかったのだから、もうすぐ暗黒物質と暗黒エネルギーが見つかるのも時間の問題だと言った。

僕が父さんにヒッグス粒子とは何かと聞くと、父さんは、ヒッグスという科学者が提唱した仮想の粒子で、それが2012年に発見されたのだと言った。

父さんは、もしヒッグス粒子がなければ宇宙は崩壊すると言った。

宇宙では暗黒物質が27パーセント、暗黒エネルギーが68パーセントを占めているが、まだ謎に包まれているそうだ。

もしその謎が解ければ、僕たちの住んでいる宇宙の起源が明らかになるという。

僕には本当に理解できない。

暗黒物質や暗黒エネルギーがなくても、こうしてちゃんと暮らしているのに、どうしてわざわざそんなものを探そうとするのだろう。

もしそんなものがなかったら、いったいどうするつもりなんだ?

ベッドに入ったあと、また起きた。

あの暗黒物質と暗黒エネルギーのせいで眠れない。

もしそれがなければ宇宙が崩壊して、そうなればヒジョンとの仲も終わりだ。

これはまずい。

僕も一緒に、この物質を探さなければならない。

ところで、どこを探せばいいんだ?

父さんが朝ごはんを食べながら、どうやら暗黒物質と暗黒エネルギーは、しばらく見つかりそうにないと言った。

だから僕も、しばらくこいつらは放っておくことにした。

ところが父さんが突然、こんなことを言った。

「宇宙は11次元だっていうけど、これをいったいどうやって証明するんだろうな?」

父さんには、また会社へ行ってほしい。

科学の時間にジョングがキム・ナンジュ先生に、宇宙がずっと大きくなっているというのは本当なのかと聞いた。

先生は、

「ジョングは少し前にニュースを見たのね? ノーベル物理学賞を受賞した科学者たちが、宇宙がもっと速く膨張していることを明らかにしました。でも、どうして宇宙がもっと速く大きくなっているのかは、まだ誰にも分かりません。科学者たちは、暗黒物質と暗黒エネルギーの秘密が明らかになれば、多くの疑問が解けるだろうと期待しています。みなさんの中から誰かがこれを見つけたら、ノーベル賞をもらえるかもしれませんよ」

と言った。

僕には「暗黒物質」と「暗黒エネルギー」という言葉が、ものすごく親しみ深く聞こえた。

実際、こいつらを見つけるために何日も悩んだではないか。

それで僕は、つい手を挙げて、聞くべきではなかった質問をしてしまった。

「先生、じゃあ宇宙が11次元だっていうのは、いつ証明されるんですか?」

うちのクラスのみんなが、げらげら笑った。

先生は顔に笑みを浮かべながら、

「それはまた今度、勉強しましょう」

と言った。

ちょうどチャイムが鳴ったからだ。

うちのクラスのやつらは、僕を「11次元」と呼ぶ。

ヒジョンが、宇宙が11次元だなんてどこで聞いたのかと僕に聞いた。

そこで僕は、おととい朝ごはんを食べながら父さんが話してくれたことを教えた。

するとヒジョンが、こんなことを言うではないか。

「うちのお父さんも、宇宙は11次元だって信じてるよ。私たちが暮らしている宇宙とは別に、宇宙はいくらでも存在するかもしれないんだって。別の宇宙には、私たちとまったく同じ人が暮らしているかもしれないけど、そこにいる私たちは、もしかしたら生徒じゃなくて先生かもしれないんだって。それに私たちには手が二本じゃなくて、胸にもう一本手があって、三本かもしれないって。宇宙は全部粒子でできていて、粒子の組み合わせは結局、確率の問題なんだって。宇宙が11次元なのは、私たちが知っている4次元に、とても小さくて見えない六つの次元と、大きな膜でできた一次元があるからなんだって。だから宇宙は11次元だけど、私たちの目には見えないんだって」

もちろん、これは全部ヒジョンのお父さんの話だ。

ヒジョンは父親からこの話をあまりにも何度も聞かされて、今ではこうして丸暗記しているのだという。

僕はヒジョンがこの話をしているあいだ、一度も息をしないので、息が詰まって死ぬかと思った。

いったい宇宙が何次元かなんて、そんなに大事なことなのか?

ヒジョンと僕の愛のほうが大事じゃないか。

シャーロック・ホームズは、地球が太陽の周りを回っていることを知らなかっただけでなく、地球が丸いことすら知らなかった。

それでも、あんなにたくさんの事件を解決しているではないか。

もう宇宙の次元について考えるのはやめよう。

ジョングが朝っぱらから電話をかけてきた。

「11次元さん、お願いします」

スマートフォンからバッテリーを引っこ抜いた。

学校前の横断歩道で交通事故が起きた。

登校中だった1年生二人が車にはねられ、119が出動した。

幸い命に別状はないけれど、しばらく松葉杖をついて歩かなければならない。

事故の原因は、あきれたことに、運転手がスマートフォンでメッセージを確認していて運転に集中していなかったからだという。

間抜けな運転手は、信号が赤に変わったことにも気づかず、ブレーキを踏まなかったらしい。

担任の先生が朝のホームルームで、最近、運転中にスマートフォンを見る人があまりにも増えていて心配だと言い、僕たちにも十分気をつけるよう何度も念を押した。

スマートフォンの呪いなのだろうか?

人は何かをするとき、必ずスマートフォンでも別のことを一緒にする。

映画館で映画を見るときもスマートフォン。

運転するときもスマートフォン。

歩くときもスマートフォン。

スティーブ・ジョブズは、人間がこんなふうに変わることを知っていたのだろうか?

それはそうと、あと何日かすれば楽しい冬休みなのに、交通事故に遭った子たちは遊ぶこともできなくてかわいそうだ。

夜明けから大雪が降った。

庭には膝まで雪が積もり、門も開けられなかった。

今日一日だけでも臨時休校だったら、どんなによかっただろう。

バスが来なくて、20分以上も停留所でぶるぶる震えなければならなかった。

結局、遅刻した。

でも遅刻した生徒のほとんどがクギル洞から通っている子たちだったので、叱られなかった。

今年のクリスマスプレゼント一覧だ。

これを全部買おうと思ったら、覆面でもして銀行を襲わなければならない気がする。

― クリスマスプレゼント一覧 ―

  1. ヒジョン:マフラー(必ず毛糸でなければならない。)
  2. 母さん:ローション(幸い母さんが使っているものは高くない。やっぱり肌は生まれつきが大事だ。)
  3. 父さん:爪切りセット(父さんには絶対に必要だ。)
  4. 祖父:靴下セット
  5. 祖母:靴下セット
  6. ジョンス叔母さん:オットンナルの1集アルバム(電話で正直に聞いてみた。叔母さんは役に立たないプレゼントがいちばん嫌いだ。潔く聞いて、欲しいと言ったものを買えばいい。)
  7. 叔父さん:オットンナルの2集アルバム(叔父さんには聞く必要がない。叔母さんが選んだものを買えばいい。)
  8. ドンワン:クリスマスカードと日記帳(新年から日記を書けという勧めだ。)
  9. ジョング、ヘソン、ミナ:小さな手帳を一冊ずつ(お前たちにはかなりもったいないプレゼントだ。)
  10. シシナおじさん:暖かい毛糸の手袋(スリランカに比べたら、ソウルはどれほど寒いことか!)

お小遣いを全部はたいて、クリスマスプレゼントを用意した。

どう考えても元を取るためには、僕が欲しいプレゼント一覧も急いで作らなければならない。

― 欲しいクリスマスプレゼント一覧 ―

  1. ヒジョン:君に望むものは愛だけだ。ほっぺたへのキスなら、ありがたくいただく。
  2. 母さん:ペリカンの万年筆がいい。
  3. 父さん:失業中の父さんに何を期待できるというのだ。自転車一台だけで満足する。ジョンス叔母さんのマンションに置いて、春になったらヒジョンと一緒に乗りたい。ヒジョンのお兄さんの自転車は、もう借りたくない。
  4. 祖父と祖母:自転車に乗るときに使うヘルメットがいい。ヒジョンのお兄さんのヘルメットは大きすぎるので、もう使いたくない。
  5. ジョンス叔母さん:無料で数学を教えてくれているので、これ以上望むものはない。
  6. 叔父さん:給料も高いのだから、最新型のスマートフォンを買ってくれればいい。それが叔父さんに心の平安を与えるだろう。僕は世界に一人しかいない甥ではないか。
  7. ドンワン:お前の良心に任せる。
  8. ジョング、ヘソン、ミナ:お前たちにも良心があることを証明してみろ!
  9. シシナおじさん:早くたくさん貯金して、家族のいるスリランカへ帰ってください。僕が大人になったら会いに行きます。

欲しいプレゼント一覧を、よく見えるように冷蔵庫の扉に貼っておいた。

今週の土曜日はクリスマス休暇なので、数学の授業も英語の授業もない。

クリスマスが一年に二回あればいい。

もちろん三回なら、もっといい。

僕が貼っておいたクリスマスプレゼント一覧に、どうして何の反応もないのか分からない。

母さんと父さん、もう老眼が始まったのか?

シシナおじさんが、スリランカから送られてきた紅茶をプレゼントしてくれた。

ヒジョンの家とドンワンの家にも紅茶をプレゼントしたそうだ。

僕はシシナおじさんに、暖かい毛糸の手袋をプレゼントした。

おじさんが喜んでくれたので、僕もうれしかった。

クリスマスだ。

うちの家族には、イエス・キリストを神として信じている人は一人もいないけれど、別にイエス様を嫌っている人もいない。

イエス様に何の罪がある?

問題なのは、イエス様を信じる人たちだ。

朝起きるなり、母さんと父さんにクリスマスプレゼントを渡した。

母さんは、いつも使っているローションがもう一つ増えたと喜び、父さんは自分専用の爪切りができたと喜んだ。

本当は、僕が何をプレゼントしても喜ぶと思う。

母さんと父さんは、自転車の鍵が入った小さな箱を僕に差し出した。

ジョンス叔母さんの家へ行けば自転車があるから、必ずパムソムと漢江の自転車道路だけで乗るようにと言われた。

うちのクギル洞には自転車道路がないので、絶対に乗らないと約束した。

自転車の鍵を受け取ると、すぐジョンス叔母さんの家へ行きたかったけれど、先に祖父の家へ寄った。

祖父と祖母に靴下セットをプレゼントした。

祖父も祖母も喜んでくれた。

祖父と祖母は、僕へのプレゼントもやっぱりジョンス叔母さんの家へ行けば確認できると言った。

僕は急いでジョンス叔母さんの家へ行った。

ジョンス叔母さんには『オットンナル 1集』を、叔父さんには『オットンナル 2集』をプレゼントした。

ジョンス叔母さんは、僕にペリカンの万年筆をプレゼントしてくれた。

うわあ!

叔父さんは黒いインクをプレゼントしてくれた。

どうやらけちんぼの叔父さんは、家をもう一軒買うつもりらしい。

叔母さんにもらった万年筆はペリカンM150というモデルで、インクを入れる方法が本当に簡単だ。

手にインクがまったくつかないし、量もたくさん入る。

叔父さんはペン先がEFだと言って、EFを英語で説明してくれた。

たぶんペン先が細いという意味らしい。

そんなこと、一度線を引いてみれば分かる。

叔父さんはこれから十年間、僕にインクだけをプレゼントし続けそうだ。

近いうちに、何か対策を取らなければならない。

母さんと父さんがプレゼントしてくれた自転車を叔父さんから受け取り、一度乗ってみたけれど、寒すぎて百メートルも進めなかった。

祖父と祖母がプレゼントしてくれたヘルメットも、頭にかぶると寒すぎたので、ひとまず叔母さんの家へ退却した。

春になるまで、自転車はジョンス叔母さんの家のベランダに置いておくことにした。

ジョンス叔母さんの家を出て、ヒジョンのところへ行った。

ヒジョンのお母さんが温かいココアを作ってくれた。

ココアを飲みながら、僕はヒジョンにマフラーをプレゼントした。

ヒジョンは僕に男性用化粧品セットをくれた。

化粧品のあちこちに、

For Men

と

HOMME

の文字が堂々と書かれていた。

うわあああああああ!

ジョンソン・エンド・ジョンソンのベビーローションよ、さらば!

グッバイ、ニベア!

ヒジョンが白い毛糸のマフラーを巻いて学校へ来た。

僕がマフラーだったら、どんなにいいだろう!

ジョンス叔母さんと叔父さんも、今度の束草旅行に一緒に行くことになった。

まさか束草で数学の勉強をしようなんて言わないよな!

今日から冬休みだ。

でも学校の授業が終わると、ヒジョンと一緒にジョンス叔母さんの家へ行った。

叔母さんが、今週も数学の勉強を休んだら二週連続で休むことになるから、今日勉強しようと言ったのだ。

心はとっくに別のところへ飛んでいるのに、数学の問題を解くのは退屈でたまらなかった。

ところがヒジョンは何ともないらしい。

すらすら解いている。

叔母さんが、山ほど数学の宿題を出した。

明日の朝、宿題のチェックを受けに行かなければならない。

ああ、僕の人生!

昨日一日じゅうジョンス叔母さんに出された数学の宿題をして、冬休み初日を完全に台無しにした。

朝早く、ジョンス叔母さんに宿題を見てもらった。

僕も合格、ヒジョンも合格だ。

ヒジョンと僕は、先週から楽しみにしていた映画を見に行った。

映画館の入口でチケットを確認するお姉さんが、僕たちに何歳かと聞いた。

僕たちは15歳だと言ったけれど信じてくれず、学生証まで見せた。

あのお姉さんは風邪をひいているらしい。

僕はもう子どもみたいにニベアのローションを塗っているわけでもなく、確かに男性用化粧品を顔にたっぷり塗ってきたというのに、匂いがまったく分からなかったようだ。

家へ帰り、明日の束草旅行の荷造りをした。

最初は二泊だから簡単にまとめようと思ったけれど、うちの車で行くのだから、わざわざ荷物を減らす必要はなかった。

母さんが僕の荷物を見ると、半分に減らしなさいと言った。

だからいくつか取り出した。

予備のジーンズ、予備のダウンジャケット、予備の運動靴、登山靴(ロープウェイに乗る予定だから必要ないと言われた)、小型の登山リュック、予備のタオル、予備の下着、パジャマ(ジャージで代用)、予備の手袋などだ。

四家族が、車三台で移動することになった。

ジョンス叔母さんと同じ車に乗らなくてよかった。

うちの車は7人乗りなので、五人で乗ることになった。

1号車(3人):ヒジョンのお父さん、ヒジョンのお母さん(運転)、ヒジョンのお兄さん

2号車(4人):ドンワンのお父さん、ドンワンのお母さん(運転)、ジョンス叔母さん、叔父さん

3号車(5人):父さん(運転)、母さん、僕、ヒジョン、ドンワン

07:00 ヒジョンのマンションの駐車場に全員集合。(7時より前に起きてからの出来事を全部書こうとしたら百ページあっても足りないので省略。バドゥギは朝早く祖父の家へ預けた。)

07:05 カーナビを設定して出発。お互い気にせず走ることにする。

07:10 朝早くから道路に車が多い。父さんが、東海岸の日の出を見に行く人たちだと教えてくれる。

07:15 母さんが居眠りし始める。僕たちが小声で話していると、父さんが騒いでも構わないと言う。母さんは目を閉じたまま、構うと言う。父さんが、構うそうだ、と訂正する。

07:40 高速道路に入る。

08:05 母さんが、よく寝たと言って起きる。母さんが、お前たちはどうしてこんなに静かなのと言う。今度は父さんが騒いでも構わないと言う。ところが、いざ騒ごうとすると話すことがない。早く運転を習わなければと思う。

08:15 ヒジョンが僕の肩にもたれて、うとうとし始める。

08:25 ヒジョンが眠りながら僕の腕に腕を絡める。

08:30 ドンワンが、うらやましくて死にそうになる。

09:45 ヒジョンが僕を揺すって起こす。僕はよだれを垂らしながら寝ていた。

09:50 百潭寺のふもとの村に到着。十二人で干しスケトウダラのクッパ屋へ入り、朝ごはんを食べる。運転しないヒジョンのお父さん、ドンワンのお父さん、叔父さんはマッコリを一杯ずつ飲む。うちの父さんは運転するので飲めない。マッコリ一杯が二杯になり、時間をかなり無駄にする。

11:10 ミシリョン・トンネル通過。駐車場に車を止め、記念撮影。

11:15 雄大な蔚山岩を背景に、ヒジョンと二人だけで写真を撮る。ヒジョンと僕は指で勝利のVサイン。

11:20 ヒジョンのお兄さんとドンワンが、一緒にVサインをしながら写真を撮る。まったくうらやましくない。

12:00 雪岳山のコンドミニアムに到着。ジョンス叔母さんたちと同じ部屋に泊まるのかと思って一瞬焦る。ところが父さんが、車に乗ってきたメンバーごとに部屋を使おうと言う。ヒジョンと僕は強く賛成する。父さんが僕の耳元で、「あとで恩返ししろよ」とささやく。

507号室:母さん、父さん、僕、ヒジョンのお父さん、ヒジョンのお母さん、ヒジョンのお兄さん、ヒジョン

508号室:ドンワンのお父さん、ドンワンのお母さん、ドンワン、ジョンス叔母さん、叔父さん

14:00 昼ごはんに冷麺を食べに行く。束草の冷麺はおいしいと大人たちは喜ぶ。ヒジョンと僕は冷麺の味がよく分からず、あまり食べられない。ヒジョンのお兄さんは冷麺をとてもよく食べる。

15:40 雪岳山の駐車場に到着。

16:10 ロープウェイに乗って権金城へ上ることにする。

17:15 権金城の頂上に到着。風がものすごく強い。僕が、木が全部エルヴィス・プレスリーの髪みたいにオールバックになっていると言う。ヒジョンがけらけら笑う。ヒジョンが寒いと言って、僕の腕にぎゅっと腕を絡める。

18:00 雪岳山の駐車場に到着。

18:45 束草中央市場で、ヒラメ、クロソイなどいろいろな刺身と海産物を買う。

18:50 1号車と2号車が先にコンドミニアムへ出発。

19:10 さばいてもらった刺身を持って、3号車もコンドミニアムへ出発。

19:40 夕食。父親たちは刺身をつまみに焼酎とビールを飲む。母親たちは優雅にワインを飲む。ヒジョンのお父さんがヒジョンのお兄さんに、受験勉強お疲れさまと言ってビールを一杯くれる。ヒジョンのお兄さんは慣れた様子で一気に飲み干し、そのまま大人たちと一緒にビールを飲む。うちの父さんは明日も運転するので、母さんが焼酎を三杯まで許可する。父さんは焼酎一杯を一本のように大切に飲む。

20:40 ヒジョンとドンワンと僕でカードゲームをして遊ぶ。

22:00 ドンワンが先に寝ると言って508号室へ戻る。空気の読める、いい友達だ。

22:30 世の中でいちばん重いものは、まぶた。ものすごく疲れて、もう遊べない。顔を洗って寝る。

07:00 トイレが混むのに備え、いちばん先に起きてシャワーを浴びる。

07:15 一人でソファに座ってテレビを見る。スペイン旅行のドキュメンタリーが放送されている。ヒジョンが寝ぼけた顔でトイレへ入る。

07:30 きれいに身支度をしたヒジョンが僕の隣に座る。スペイン南部は冬なのに寒そうに見えない。いつかヒジョンと新婚旅行でスペインへ行きたいと思う。もちろんヒジョンには聞かない。ところがヒジョンが突然、スペインへ新婚旅行に行けたらいいねと言う。僕の口元に笑みが広がる。

07:45 大人たちが起きて、顔を洗い始める。

08:00 ヒジョンのお父さんがソファへ来て、一緒にドキュメンタリーを見る。ヒジョンのお父さんが、「来年はスペインにでも行こうか?」とヒジョンに聞く。ヒジョンと僕は「はい!」と答える。

08:35 朝ごはんを食べるため、ハクサピョンへ行く。スンドゥブとコムチタンを食べる。コムチタンはスンドゥブの二倍以上も高い。大人たちは二日酔いを治すため、コムチタンを食べる。ヒジョンのお母さんによると、コムチは昔は食べもせず捨てていた魚だったそうだ。ぶよぶよして不格好な安い魚だったのに、今では希少になって、とても高いという。

09:40 洛山寺へ出発。二人ずつ組になって洛山寺を散歩する。ドンワンはヒジョンのお兄さんと組んで歩く。冷たい海風に吹かれながら、ヒジョンと歩く。

10:45 ヒジョンのお父さんがドンワンのお父さんに、焼酎を一杯どうだという合図をそっと送る。ドンワンのお父さんは時計を見ると、まだ早すぎるという合図を返す。言葉を必要としない高度な通信手段だった。手話のようでもある。大人になれば自然に身につく言語に違いない。

11:05 叔父さんが、寒いからもう歩くのはやめようと言う。母親たちもそうしようと言う。叔父さんが、どこか暖かいところへ行って、ヤンミリをつまみに焼酎でも一杯どうだと言う。ジョンス叔母さんが、朝から何が酒よ、と言う。怯えた叔父さんが、冗談だと言う。

11:10 洛山寺の駐車場で、それぞれコーヒーを一杯飲む。

11:20 高城の禾岩寺へ出発。

12:00 禾岩寺に到着。もともとの名前は華厳寺で、新羅時代に建てられた寺だという。驚いたことに、禾岩寺があるこの場所が金剛山のいちばん端だという。金剛山は北朝鮮にしかないと思っていたのに、そうではなかった。

12:20 ジョンス叔母さんが禾岩寺の甕置き場を長いこと眺めたあと、とうとう甕のふたを開ける。ヒジョンも走っていき、中に何が入っているのかのぞく。僕はお坊さんに叱られるんじゃないかと思って、やめるよう叔母さんに合図したけれど、叔母さんはまったく気にしない。

12:35 ジョンス叔母さんとヒジョンとドンワンが、禾岩寺のスバウィへ登る。岩が滑るので、あまり上までは登れない。

13:10 高城の海辺の村で、ムルフェを昼ごはんに食べる。父親たちは焼酎を一杯飲みたくてたまらないが、母親たちに反対され、夕方まで我慢することになる。

14:05 ヒジョンのお母さん、ジョンス叔母さん、ヒジョン、僕はコンドミニアムへ戻らず、永郎湖へ行く。残りの人たちは昼寝をすると言ってコンドミニアムへ戻る。

15:00 永郎湖に到着。ボムバウィまで行って戻る。虎岩というより、どう見ても恐竜の卵みたいだ。ヒジョンと僕は、これからはボムバウィとは呼ばず「恐竜卵岩」と呼ぶことにする。僕たち二人だけの言葉を作ることにした。

16:05 霊琴亭に到着。気持ちのいい東海が広がる。僕がジョンス叔母さんに、東海は僕たちから見れば東の海だけれど、日本から見れば西の海なのに、どうしてみんな東海と呼ばなければならないのかと聞く。

ジョンス叔母さんは真顔になり、もともとの名前が東海なのだから、東海という名前を譲ってはいけないと言う。もし東海という名前を捨てて別の名前で呼べば、日本はさらに強く独島を自分たちの領土だと主張するようになると言う。さらに東海のいろいろな海底地名も、日本の思いどおりに呼ばれる可能性があると言う。

ヒジョンのお母さんも、東海と独島の問題は日本による朝鮮半島侵略戦争の延長線上にあると言う。日本の主張を見るかぎり、朝鮮半島への侵略戦争は今もまだ終わっていない状態なのだと言う。

僕が驚いて、それはどういう意味なのか分からないと言うと、ヒジョンのお母さんは、独島は日本が乙巳勒約の前、日露戦争を始めながら最初に奪った土地であり、それを皮切りに朝鮮半島全体を侵略したのだと言う。日本はいつも謝罪するけれど、それは言葉だけで、本当の誠意はないのだと言う。

日本が主張する独島と東海の問題は、過去の日本による朝鮮半島の植民地支配を正当化することなのだと言う。僕たちにとっては、絶対に譲ることのできない主権の問題なのだと言う。

僕が、

「うわあ!」

と驚くと、ヒジョンのお母さんは、大学時代に独島問題研究所でサークル活動をしていたと教えてくれた。

未来の義母さん、ものすごく格好いい!

16:25 独島と東海の話のせいで、体がすっかり冷えきる。

17:30 束草中央市場で、いろいろな刺身とイカのスンデなどを買い、コンドミニアムへ戻る。

17:55 夕食開始。父親たちは海産物をつまみに焼酎を飲む。明日は母さんが運転することになったので、うちの父さんもビールを何杯か飲む。ヒジョンのお兄さんは焼酎でもビールでも関係なく、実によく飲む。

19:55 部屋に入り、ヒジョンと本を読む。つまり、僕が本を読んで、ヒジョンが聞く。

22:30 明日は日の出を見に行くので、みんな早く寝る。